スラムの片隅から世界を、、【YUMEKAKE/JOHN's diary】

国際協力活動のなかでのマジメな話からゆる~い話まで/海外から日本から

【彼女の周りの小さな物語から見る世界の現実とファンタジー(その1)】 (#フィリピンの学校教育制度 #新型コロナウィルスと学校教育 #フィリピンのスマホ事情 #国際協力SDGsの限界)

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スラムの子どもたちから、よくメッセージが来る。

NGOの現地事務所があるフィリピンでは、その気になればとても安く携帯が買える。

町なかの怪しい露店はもちろん、モールにあるこぎれいなお店でも、1000円とかで。

そういうのでも、いろんな機能の充実は期待できないが、とりあえず通話やメールはできる。

で、携帯とSIMカードがあれば、あとは無料(インターネットやプロバイダー料金がいらないってこと)でfacebookのmessengerが使える。

その辺のシステムがどうなってるかはわからないが、画像とかはネット環境がないと無理だけど、文字のやり取りだけなら、messengerで無料でできるということ。

ちなみに、フィリピンでは、インターネットを使うために「ロード」というものを買って、スマホを使う。SIMカードへその都度ロードを買ってチャージする、ようするにプリペイド携帯のような形。ネットを使わないならそのロードもいらない。

そんなこんなで携帯普及率も高いし、みんなfacebook依存症😅

で、ロックダウンで学校がない(モジュラークラスという家庭学習)ので、子どもたちは家で宿題をやるだけで(外出制限もある)、時間もあるし、ストレスもたまってるし、よくその無料のメッセージをくれる。

このあいだは、こんなことを話した。

彼女は今、年齢的には中学校1年生。

フィリピンは、高校卒業まで義務教育(ということになってる)で、日本でいう中学高校は、そのまま合わさってハイスクールの6年間(英語のままジュニアハイスクールとシニアハイスクールって言えば、どっちもハイスクールなので、そのままといえばそのまま)。

また、小学校からそのまま上がっていくので、「~年生」というのも、小学校から合わせて数える。「grade~」というふうに。

ようするに中学校1年生は、Grade7ということ。

あ。小学校からそのまま義務教育で高校卒業まで上がっていくので、高校入試というものはないが、毎年進級試験がある。

落第という制度があるわけだ。

小学校1年生から2年生の進級試験に通らずに、もう一回1年生だってあり得る。


毎年落第する子がいて、また、いろんな事情で、学校に入学するのが遅れたり、途中で一回やめてまた復帰したりもするので、当たり前にいろんな年齢の子がクラスにいる。

ふつうに公立の小中学校で。

で、彼女はGrade7。

ただ、、

そう、もし学校に行ってれば、、、

。。。

「今、学校に行ってないの」

と、彼女が言う。

小学校でドロップアウトしたという。

もちろん理由は貧困のため。

残念ながら、ここではべつに珍しい話ではない。

義務教育のはずなんだけど、特にNGOの支援している貧困地域のスラムでは、学校に行ってない子どもは、ふつうにたくさんいる。

家の手伝いや子守りをしたり、小学校の年齢から働いたり。

また、彼女の場合、コロナの影響もあった。

結局、フィリピンでは、今年度、学校にはまったく通えていない。

彼女も今年度(2020年)から小学校から中学校に上がるはずだったのに、同級生は皆、同様に中学校には一度も行っていない。(学校そのものは小学校と同じ校舎なので、彼女の学校は、昼は小学校で、夜はハイスクールなので、中学生なのに、夜間学校となる。)

コロナの影響で、一年間まるまる学校生活がなく、来年度だってまだどうなるかわからない。だったら、べつに学校に所属してなくても、家の手伝いとかしてればいい、、、経済的にもともと学校に通うのが大変だったのだから、、、という家族の判断だったのだろう。

細かい話をしてしまえば、モジュラークラス(家庭学習)だって、それをするためには、鉛筆やノートとか文房具だって買わなきゃならないし。


というか、ちょっと考えてみればわかる。

学校といっても、授業があるわけじゃなく、プリントを渡されるだけ。だから先生が勉強を教えてくれるわけでもない。

あ。正確に言えば、「オンライン授業」も選べるんだけど、インターネット環境のない貧困層には無理。

そして、そもそも学校どころか、彼女の年齢では(15歳以下)、ロックダウンにより、まだ外出禁止だし(まあ、家の周りとかには出てるけど)、学校で友達と交流することもない。

それって、現時点で学生でいる意味ある?

日本でもそうだけど、学校での勉強なんて、社会に出たらほとんど使えない。「サインコサイン?何だったんだあれは?」という感じ。

あ。まあそういう話はとりあえず置いといて😅

なんていうか、現状、学校に通えないで授業もないってことは、勉強を教えてもらえもしないし、また、友達や先生との交流による社会勉強にもならない。

だったら家の手伝いしてた方が、家族のためにも子どものためにもいいかもしれない。

ちなみに彼女は、小学校しか行ってないんだけど、でも、他の子よりも英語がしっかりしてて、そういう意味ではもったいなって思ったけど、、、

でも今すぐに、NGOでも、また自分個人でも、すべての子どもの学習環境や生活環境を万全にしてあげられることはできない。

残念ながら今の自分にはその力がない。

こうやってスラムのひとりひとりの子どもと深く向き合っていると、それぞれが抱える様々な困難に対し、本当に自分の無力さを感じてしまう。

日本から見たらまるでダークなファンタジーのような世界だけど、ここではそれが、とても身近な当たり前の現実なんだ。

そして、、、



(【彼女の周りの小さな物語から見る世界の現実とファンタジー(その2)】へ続く)

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自分は、国際協力NGO「HOPE~ハロハロオアシス」の代表を務めています。(詳しくは下記「自己紹介・NGO連絡先」リンクをご参照お願い致します。)
あ。「YUMEKAKE」というのは、NGOの活動のプロジェクト名(YUMEKAKE PROJECT)です。世界の子どもたちの、笑顔と希望と夢の架け橋になりたい、という意味です。

このブログでは、国際協力活動を通しての視点で、海外また国内の、様々な問題や出来事、スラムや難民キャンプの人々の生活、NGOの活動の様子等を、時に真面目に、深く、時にゆるく、書いていきたいと思います。
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