スラムの片隅から世界を、、【YUMEKAKE/JOHN's diary】

国際協力活動のなかでのマジメな話からゆる~い話まで/海外から日本から

もうすぐクリスマス。彼女の、とてもとても切ない、サンタクロースへのお願い、、、 (#コロナ渦のクリスマス #フィリピンの離婚手続き・アナルメント #カトリックは離婚できない)

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「もうすぐクリスマスだね」

と、チャットで唐突に言われる。

「うん、そうだね」

と、相づちをうつ。

「プレゼントくれる?」

「。。。」

「うそ。じょうだん😁」

「ああ、、😅」

「でもね、、、

サンタにお願いしたいことがあるの」

「なに?」

「お母さんに会いたい、、」

。。。

彼女はフィリピンの高校1年生。

ロックダウンで学校に通えず、宿題プリントの毎日。

友達にも会えないし、規制もあり、外出もままならない。

子どもたちにはストレスがたまってる。

自分にできること言えば、なるべく話し相手になってあげて、愚痴のはけ口になってあげることくらい😅

。。。

彼女の母親は2年前に家を出た。

新しい男と一緒に、、、

だから、彼女と一緒に住む父親は、彼女が母親と会うことを許していない。

そして彼女も、母親が今どこで何をしているのか知らない。

母親には、もちろんそれなりの事情もあり、自身の幸せを求めることだって自由だろう。

でも、ただそれだけですむ話じゃない。

個人の幸せと親や家族としての責務。

べつにフィリピンだからってわけじゃなくて、もちろん日本、というか世界共通、こういう問題って難しい。

ただせめて、娘の心に、こんなにも深い傷を負わせることなく、家をあとにしてほしかった。

あまり深くは聞いてないが、たぶん離婚はしてない。

フィリピンでは、宗教的な問題(カトリックは基本的には離婚が認められない)や、またお金もかかり、手続きも煩雑で、離婚するのがめんどくさい。というか場合によってはできなかったりもする。

まず、宗教の問題だ。フィリピンはカトリックの国なのだが、カトリックの教義では、結婚は終生に渡る神聖なもので、離婚は認められない。結婚を解消するには、「その婚姻関係は当初から問題があったため結婚そのものが無効」という判断を教会に申請し、認められなくてはならない。

近年、このような禁忌(タブー)やそれに伴う手続きは、緩和されてきてはいるが、特にフィリピンにように、カトリック原理主義の国では、物理的にも精神的にも、まだまだとても難しい。

それからもうひとつ大きな問題は、これも上記の宗教的な手続きと関係が深いのだが、制度上の離婚への手続きがとても煩雑なのだ。

これを「アナルメント」(婚姻無効裁判)という。

たとえ、いくら夫婦が両方、離婚に同意していても、アナルメントをしなければ離婚ができない。日本みたく、どっちもOKなら、紙にハンコ押しておしまい、じゃない(というかそのうちその捺印もなくなる?)。裁判するために弁護士もいる。期間も2~3年はかかる。結局、費用は15~20万円くらいはかかるだろう。

もう一度言うと、夫婦共に離婚に同意しても、上記のようなアナルメントが必要なのだ。

そんなの月収一万円とかで暮らしてる、ここフィリピンの貧困層に払えるわけがない。

また、日本でなら、母親が浮気して男と出て行った、となれば、離婚の申し立てはできるだろうし、慰謝料だって請求できるだろう。

しかしここフィリピンでは、特に貧困層のあいだでは、そんなしっかりとした法律の保護の手は差し伸べられない。

そもそもそういうあれこれを、本人たちも知らなければ、行政も気にかけない。

親権がどうこうとか、よくある週に一回子どもに会える、だとか、そんな平和なシステムは、ここでは見受けることができない。

そこにあるのはただ、哀しい現実と、それぞれの心に刻まれた傷だけだ。

NGOで支援している子どもの親には、そういう家庭の事情で、たとえ両親がいても、二人が結婚していない、名字が違う、という家庭がよくある。(法的には「両親」じゃないか、、)

事実婚によるパートナーとか、夫婦別姓とか、そういうオシャレなことではなく、いろんな事情を抱えて、結婚ができないまま、一緒に暮らしてる、というだけ。

こんなところにも、貧困による不幸な現実が存在してる。

。。。

時々、彼女からメッセージがきて、チャットをする。

夜中にスナックを食べては、

「ダイエットしなきゃ。コロナで家ばかりいて、また太っちゃってさあ。」

TikTokをアップしては、

「ダンスは得意じゃないの。でも大好き。」

と、他愛もない話をする。

「早く学校に行って、友だちに会いたいなあ。。」

どこにでもいる、ふつうの女子高生だ。



このあいだ、聞かれた。

「ねえ、日本語でBig brotherは何て言うの?」

「Oniichan かな」

それ以来、彼女は自分のことを「おにいちゃん」と呼ぶ。



お母さんには会えないかもしれないけど、でも、家族や親戚と一緒に、きっと楽しいクリスマスになるよう、祈ってるよ😊✨


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自分は、国際協力NGO「HOPE~ハロハロオアシス」の代表を務めています。(詳しくは下記「自己紹介・NGO連絡先」リンクをご参照お願い致します。)
あ。「YUMEKAKE」というのは、NGOの活動のプロジェクト名(YUMEKAKE PROJECT)です。世界の子どもたちの、笑顔と希望と夢の架け橋になりたい、という意味です。

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