スラムの片隅から世界を、、【YUMEKAKE/JOHN's diary】

国際協力活動のなかでのマジメな話からゆる~い話まで/海外から日本から

【ロックダウンからの脱出(Ⅱ)】~フィリピン・セブ島ー差別、監視、軟禁、、3・21、あの日、新型コロナウィルスにより突如封鎖された島を、ボクらは脱出した、、、(#ウィルスの次にやってくるもの #人の心の闇 #アジア人差別とヘイトクライム)

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3月15日
この日、いきなりマニラ(フィリピンの首都)がロックダウン(都市封鎖)された。
そこから流れが一気に変わる、、、

といっても、マニラとセブは、島が違うし、飛行機じゃなきゃ行けないくらい遠いから、実質的にはセブにはあまり影響はなかった。

日曜日には教会にみんなで集まってミサとかやってたのに、週が明けてすぐにマニラがロックダウンされ、その流れでセブの学校や施設もすべてダメになったりはした。

とはいえ、それでもセブはまだゆったりしてた。町の雰囲気も緩かった。

ショッピングモールも市場もふつうに開いていたし、トライシカット(チャリンコタクシー)でちょい出掛けたり、トライシクル(バイクタクシー)に乗って自分たちでスーパーに買い物に行ったりもできた。

スーパーの入り口でおでこにピッていう検温チェックがあって、日本ではまだそういうのがやってなかったから、珍しくてみんなで盛り上がってたりもした。

「ひっかかったらここでバイバイだねー」なんて笑い話もしながら。
(毎日の検温チェックを義務化していたので、いちおう心配はなかったのですが、、)


例えば日本でも同じ感じだと思うんだけど、
コロナ感染初期に、北海道でクラスターがあって緊急事態宣言が出た時も、東京とかでは他人事だったように?

なんだけど、この日を境に、どんどん話が進んでいって、

まずは、すべての国内線がストップして、国際線も大幅に制限された。また、フィリピン全土に、夜間外出禁止令が出された。

そして、新型コロナウィルスに対する人々の警戒心が一気に増して、人々はパニックモードになっていった。

でも、それでも初めの頃は、なんでもなかった。

さっき書いたように、日本人だけでさくっとスーパーに買い物に行ったりもしてたし。

実際、まだ、その夜間外出禁止令以外の制限はなかったし。

でも、

問題は、人々の心。

すっかりコロナウィルスの恐怖にとりつかれた人々の心が、自分らに襲いかかった。

何の根拠もない「日本人はコロナだ」(中国と韓国も)っていう差別意識が、人々の間に蔓延していた。

韓国人の団体が宿泊した(泊っただけで、べつに感染者が出たってわけじゃない)ホテルの名前を、フェイスブックでシェアして、風量被害を広めたりしていた、そんな状態。

2月末だったっけ?アメリカでもあったでしょ?
地下鉄構内で中国人が「コロナだ!寄るな!」って襲われた事件。
今思えば、現状のようになってしまうアメリカ人にそんなこと言われる筋合いはないんだけど、あの頃は確かにそうだった。

「中国、韓国、日本からコロナはやってくる」

という、、、。

日本人はたぶん、そんなあからさまな人種差別をしない(イスラム国騒ぎの時に、ムスリムの人たちに対して、そういう感じになってたりもしたけど)から、自分の感覚もどこか平和で甘っちょろいものなってたのかもしれない。
また、もともと明るい性格のフィリピン人だから、いくらパニックモード(感情的な国民なのでパニックにはなりやすい)になったからって、持ち前のフレンドリーさもあるし、、、

だったのだが、思った以上に、フィリピン人の反応は極端だった。

それは、これもたぶん日本人では想像つかないかもなんだけど、、、
もともと医療環境が整ってない発展途上国、また、特に貧困層が多いフィリピンで、粗末な家々が密集し、多人数家族であるスラムにおいて、クラスターが発生したら大変なことになるっていう(実際、スラムでのクラスターは多く発生し、特にセブでの感染者は今も増え続けてる。)危惧や、

何よりも、スラムの貧困層は、病院に行ったり、検査を受けるお金がない。日本のように福祉や保健も整ってない。だから余計に感染が怖い。病気に関する知識も薄いので、かかったら死ぬ、と思ってる、、

そういう国の状態の事情もあり、政府は感染を極端に恐れて、規制を厳しくしていった。

同時に、必要以上に感染を恐れた、そんな人々の心が荒んでいった。

実際には、その頃、夜間外出禁止以外、自分らに課せられた制限はなかった。

人々もふつうに町に出歩いてたし、市場は人でいっぱいだった。

逆に自分は、「こんな状況じゃ、今は良くても、いずれ大変なことになる」と恐れていた。ミサをやってしまう意識の低さからいっても。(事実、その後、セブ市はフィリピンの世界最長のロックダウンの一番の原因になる。)

町はまだ平常とあまり変わらなかったが、しかし、人々の心は、すでにコロナに蝕まられていた。体よりも先に、心が感染していた。

「日本人はコロナ」という差別意識から、自分らのことを役場に通報する人がいたり、ひどいのになると、宿泊所(NGOのゲストハウス・一軒家)の隙間から、自分らのことを、隠し撮りにしてたりする人もいた。

実は子どもでさえそうだった。
逆に遠慮のない子どもは、「あなたたちはコロナなんでしょ?」と不可思議な顔をする子とかもいて、初めは自分らに近付いてこなかったりもした。
(毎日、他の友だちと一緒に自分らと絡んでるうちに、すぐにふつうに遊んだりするようになってたけど(^^;))

そんなこんなで、

どんどん、というか急激に、自分らに対する制限と監視の目が厳しくなった。

簡単に言ってしまうと、自分らは人々の差別意識によって、地域から隔離・監禁状態にされていた。あきらかに監視対象とされていた。

住民の通報により、自分らは、バランガイ(地方自治体・町村)における、監視、監禁、差別の対象となった。

まだ現地人には特になかった(週明けに夜間外出禁止が出たくらい)行動制限が課せられ、宿泊施設に軟禁された。

でもそれは、国で決められた法律でも条令でも命令でも何でもないから、罰則があるわけじゃないし、実際は制限があるわけでもない。(その頃のセブでは、まだ正式な規制があまりなかった。)

ただ、地域(バランガイ)の長(バランガイキャプテン)が、そういう通報によって、自分らの行動を制限しようとし、また、地域住民も同じくパニックモードにより猜疑心を募らせた。

「あの家はコロナの巣だ」
「日本人がコロナをばらまいている」

そんな監視・軟禁・差別の生活によって、宿泊所から自由に出ることもできず(表にちょっと出るだけで近隣住民から通報される)、学生ボランティアたちのストレスもたまっていった。

なんとか彼らを不安がらせないように、毎日毎晩、現地の友人や在住日本人と連絡をとり、情報を集め、「これはこれでなんとかするから」と、何事もないようにふるまおうとしていた。

幸い、NGOの支援で学校に行っているサポートチャイルドの子たちが、学校や休みなので、毎日、宿に遊びに来てくれて、学生ボランティアと楽しく交流してくれた。

が、

このままでいいわけがない。

で、自分は、このバランガイとの付き合いも長いし、そんな差別に従う理由もないので、直接バランガイオフィスに行って、バランガイキャプテンとケンカしたりもした。

「これって人種差別だろ?恥ずかしくないん?てゆーか人権侵害じゃね?!」と。

だがしかし、彼の態度は変わらなかった。

じゃあ、もうここに居たって仕方がない、何もできない、と思って、自分は次の行動を具体的に模索し始めた。

国際状況的には、「今すぐ帰国しなきゃ」という状態ではまだなかった。
だってまだ、日本ではオリンピックもやる気でいた頃だ。

だから、その時に考えたのは、今、ここにいるボランティアのみんなに、なんとか別の支援プログラムに参加してもらう手配を整えよう、ということだった。

いつも活動を行っている、ここ、ではない場所で。

そう、とにもかくにも、

もう、こんな差別的な地域にいても意味がない。

まずはここから出よう、

と、、、


《(Ⅱ)了。続く、、》

ロックダウンからの脱出 PartⅠ~Ⅵ &「その後」

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自分は、国際協力NGO「HOPE~ハロハロオアシス」の代表を務めています。(詳しくは下記「自己紹介・NGO連絡先」リンクをご参照お願い致します。)
あ。「YUMEKAKE」というのは、NGOの活動のプロジェクト名(YUMEKAKE PROJECT)です。
世界の子どもたちの、笑顔と希望と夢の架け橋になりたい、という意味です。

このブログでは、国際協力活動を通しての視点で、海外また国内の、様々な問題や出来事、スラムや難民キャンプの人々の生活、NGOの活動の様子等を、時に真面目に、深く、時にゆるく、書いていきたいと思います。 そして少しでも、皆さまに、世界の様々な現実を知ってもらえるきっかけを届けたいと思っています。

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