スラムの片隅から世界を、、【YUMEKAKE/JOHN's diary】

国際協力活動のなかでのマジメな話からゆる~い話まで/海外から日本から

「祭りのあと」 ~ロックダウン下のフィリピンで改めて気付いた、「価値観の違い」という言葉の曖昧さと無責任さ。そして、宗教とは?信仰とは?、、

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もうかれこれ三ヵ月半もの間、ここフィリピン・セブ島ではロックダウン(都市封鎖)が続いている。

世界でもまれにみる長期間のロックダウンであり、外出禁止、移動制限、そして、経済活動もまたずっと停止している。

仕事を失い、お金も食糧もなく、国民の生活、特に貧困層は、飢えに苦しみ、感染への恐怖と共に、飢えへの不安と現実に圧し潰されている。

フィリピン国内でも地域により、ロックダウンの制限は様々で、NGOで支援しているこのセブ市が、国内でいちばん厳しいロックダウンが行われている。

通りには軍や警察の治安部隊がパトロールし、装甲車が走り、上空には監視のためのヘリが舞い飛んでいる。

また、ロックダウンといっても、都市ではなく、もっと狭い地域、バランガイ(日本で言う「町」)やSitio(同「丁目」)単位での封鎖が行われている場所もある。

NGOの現地事務所があり、メインで支援してる地域も、そのひとつだ。

スラムでのクラスターが発生しているこのバランガイは、フィリピン国内でいちばん厳しいハードロックダウンが行われているセブ市の、その中でもまた特に要注意指定されている。

そんな厳しい警戒・監視がされているはずのバランガイにて、このあいだの土曜日、事件が起こった。

写真のようなパレードが行われたのだ。

地域のお祭りだということだ。

もうだいぶ感染が落ち着いた日本でさえ、お祭りとか自粛しているのに、未だロックダウンが行われている地域で、いったい何が起こったのだろう、としょうじき驚いた。

それもここはNGOの事務所のすぐ脇の通りだ。

事務所は今、ロックダウンにより閉鎖しているのだが、各支援地域にて、現地ボランティアと協力して支援活動を行っている。

ここら一帯も、このあいだお米等の食糧を配布したりした。

初めはわけがわからなかったのだが、情報を集めてみると、このお祭りは、地域のとても大事な行事だったらしい。

そういえば毎年やってた。

セブ島にはシヌログというフィリピン最大級のお祭りがある。それは毎年1月に行われるのだが、キリスト教カトリックの祭礼として、宗教的意味ももちろん大きい。

そして、先週末は、この地域のシヌログ祭だったのだ。

お祭り好きなフィリピン人、年間を通して多くの祭事があるのだが、その中でも、ここセブで大切に祀られているサントニーニョ(キリストの子ども時代と言われている)を称えるこのシヌログ、1月に行われるフェスティバルは、セブ、いやフィリピン国内においても最も規模が大きく、また、セブの人々にとって、最も大切な宗教的行事である。

そんなシヌログ。ローカル版とはいえ、この地域の人々にとっては、やはり最も重要な祭礼なのである。

しかし、今は、すべての集会や行事も禁止されているロックダウンの最中。

だが、

それは強行された。

パレードや踊りで盛り上がり、人々が集った。

もちろん皆、今のこの、新型コロナウィルス感染拡大による危機的状況はわかっている。

生活苦と軍による監視、、皆、身近に実感している。

多くの住民はこの愚行に批判的だ。

自分も含めて。

それでも行われたのは、これが、地域の人々にとっては、何よりも大切な宗教的行事だからだ。

フィリピン人は、日本人からは想像もできないくらい信心深い。神様を盲信しているといっていいくらいだ。それは決して悪いことではない。宗教があるからこそ、救われている面は確かにたくさんある。

そして、そんな信心深い人々にとって、このお祭りを行うことは、不要不急ではなく、とても大切で、必要なことだったのだ。

しかしやはり、これはバカげている。

こんな騒ぎを起こして、また感染が拡がったらどうするのだろうか?

ただでさえ地域的パンデミックが酷いことで、要注意とされている場所なのに。

コロナウィルスなんて別にかかってもほとんど発症しないし、とか、ロックダウンに意味はない、とかそういう論もあるが、残念ながらそういう問題でなく、今、現実問題として、この国の政府の方針として、感染者が増え続けていることにより、ロックダウンがずっと続き、人々は困窮している。

そんな状況の中、この行いが、フィリピンの未来を、人々の希望を、また閉ざしてしまうかもしれないのだ。

自分にとっては大切なこと、それならそれでいい。

だからといって、周りに迷惑をかける行為は慎むべきだろう。

どうしてそんな人として当たり前のことがわからないのだろう。

「価値観の違い」なんて言葉を、人は気軽に使い、簡単に気持ちのすれ違いの理由にするが、実際は、「価値観が違う?だから何?」なことは世の中にたくさんある。

価値観が違うから、自分勝手にしていいわけじゃないし、自分が正しいわけでもない。

むしろ、価値観が違うのなんて当たり前。

でも、それでもなんとか皆で同じ時代を、同じ場所で生きてくために、せめて他人の迷惑に繋がることは自重しよう、とは思わなかったのだろうか。

それとも、単に、宗教が目をくらませたということか。

それが真の信仰なのか?それが宗教なのか?それがイエスの教えなのか?

きっと違う。

違うんじゃないかな。

自分はそう思う。

。。。

このパレードは、今、フィリピンで大問題になっている。

土曜日のパレードが、住民のSNSやメディアによる非難の嵐となり、日曜日も行われる予定だった祭礼は中止になり、厳戒態勢となった通りには、また一段と軍隊があふれてる。

問題になったことで、慌てて、バランガイキャプテン(町長)が声明を出した。

「私は反対した」と。

そして、強行されたことを知らなかったと。

また、セブ市長もまた、「私は知らなかった」と言っている。

しかし、実はこれは、金曜日に付近でリハーサルが行われており、SNSやネットのレベルでも、既にそれが物議をかもしだしていた。

なのに、その町や市のトップが知らなかった?

ありえない。

責任逃れもはなはだしい。

とおうか、もし本当に知らなかったのなら、情報・治安管理上、それもまた大問題だ。

あ。ふと思うと、
日本でもよくある構図だよね。こんな感じの。
責任の所在を役人がみんなでなんとかごまかすってゆーの。

そうそう、日本でも同じといえば、不要不急っていうの、日本の自粛でも、不要不急の外出は控えるって言ってた時に、TVで、今、チケットショップで新幹線の切符の値段がお買い得になってるっていう特集してて、新幹線でどっかでやる趣味のセミナーに行こうとする人が、「他人からみたら不要不急かもしれんけど、私にとっては大事なこと」って言ってた。

話は戻って、


そんなこんなで、

このパレードの翌日から、通りはまた一段と警戒が厳しくなった。

装甲車が何台も走り、銃を持った治安部隊がうじゃうじゃいる。

ちょっとした外出にさえ、人々は恐れをなしている。

しかしそれもすべて、残念ながら自業自得だ。

もしこのまま人々の意識が変わらないのなら、この国に明るい未来が見える日はまだ遠いだろう。

明日(予定)、大統領が今後の方針について発言をする。

今後のロックダウンについて言及があるだろう。

フィリピンは今、長期のロックダウンによる経済活動の停止で、人々の生活も、また国そのものも危機的状況に陥っている。

しょうじき、経済活動の再開は急務な状態だ。

しかし、今回の件もあるし、また、市内の感染者数もまったく減ってないし、もしかしたら、ここセブ市だけは、また再興計画から取り残されるかもしれない。

もうすでに、人々の生活は限界なのだが、、、

。。。

パレードの報告を受け、またその画像を見て、疑問に思ったことがある。

こんな状態を、どうして市内にうじゃうじゃいたはずの軍や警察はほおっておくんだ?と。

事実、パレードを中止にしたとか、誰かが捕まったとかの報告もない。

どういうこと?

結局、上の人たちも知ってて、許可してたってこと?

それとも、やっぱり宗教的行事だから手を出せなかったん?

バチでも当たるん?

なんなん?宗教って?信仰って?

。。。

いろいろ批判的なことを書いたけど、

でもやっぱり自分はこの国が大好きだ。

ここには、自分にとって、母国である日本よりも、既に多くの人間関係を持ってる。

今回の件はとても残念なことだけど、

でも、これが原因でまたクラスターが発生しないことを願うし、

本当に、感染が早く落ち着き、人々の生活が元に戻っていってほしい。

いつもいつも意味不明に明るく笑顔に包まれた、あたたかい時たちの中で、また自分も笑顔で過ごしていたい。

ほんとうに、、、


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JOHNです。よろしくお願いします。
海外のことや日本のこと、世界の現実、経済や政治、ポエムまで、いろいろ書いてます😅
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自分は、国際協力NGO「HOPE~ハロハロオアシス」の代表を務めています。(詳しくは下記「自己紹介・NGO連絡先」リンクをご参照お願い致します。)
あ。「YUMEKAKE」というのは、NGOの活動のプロジェクト名(YUMEKAKE PROJECT)です。世界の子どもたちの、笑顔と希望と夢の架け橋になりたい、という意味です。

このブログでは、国際協力活動を通しての視点で、海外また国内の、様々な問題や出来事、スラムや難民キャンプの人々の生活、NGOの活動の様子等を、時に真面目に、深く、時にゆるく、書いていきたいと思います。 そして少しでも、皆さまに、世界の様々な現実を知ってもらえるきっかけを届けたいと思っています。

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